the PLAY/GROUND vol.0『ブルールーム』

the PLAY/GROUND vol.0『ブルールーム』観劇。デヴィッド・ヘアーの脚本を、元tptの薛珠麗が演出したもの。男女の愛や性、裏切りを描いた脚本が面白い。演出・美術・照明・音楽が洗練されていてオシャレ。役者もよく、芝居全体の雰囲気がとても心地良かった。

5人の男性と5人の女性が登場し、男女1組ずつの場で構成されている。男女が5人ずつだったら普通は5組で5つの場ということになるが、この芝居では10組のカップルが出てきて、10場まである。登場人物が皆、2人の異性と同時に関係を持っているので、10組のカップルが生まれるというわけだ。次の場に移るときに、ペアの相手が一人ずつ入れ替わる。情熱的に女を口説いていた男が、次の場ではまた別の女に似たようなことを言って口説いていたりする。第5場では愛し合っている夫婦が登場するが、第6場では夫が若いモデルと浮気している。けれど、第4場では妻が学生と浮気している。どの場も男女のセックスシーンが出てくるし、場と場がシームレスに続いているので、セックスの相手が変わっているというのが生々しい。男も女も、よそでなにやってるかわからない、どいつもこいつも信用ならねーよ、という、まあ結構ゲスい話だ。このような男女の愛と裏切り、というのがこの作品のテーマである。

他者を求め、愛することが、別の誰かを裏切ることになる。そのことで罪悪感を抱えていたり相手を疑ったりしている。疑いながらも身体を求め、愛し合う。そこに本物の愛があるのかどうかはわからない。ひとときの温もりや快感を求めているだけかもしれない……。こうして葛藤する男女の姿は無様で滑稽だ。だけど彼らは皆、自分の心に正直に生きている。

目の前の相手だけを愛しているふりをして、実はほかの人とも関係を持っている……というのは、ポツドールの『恋の渦』を思い起こさせる下世話さ。だけどこの作品ではそれを、凝った構成でストイックに表現。演出が非常にスタイリッシュで、ドロドロしたものをあまり感じさせずに男女のエロスを描いている。人間の孤独や葛藤というテーマもしっかり伝わってきた。要所要所でピアノの生演奏が入ったりミラーボールが回ったりするのがかっこいい。ワインを飲みながら観ていたというのもあり(1ドリンクつきだった)、こういった洒落た演出が心地良かった。そう、こういう芝居は、ワインを飲みながらじっくりゆったり味わうのがいい。

この芝居を楽しめたのは、役者の魅力が大きい。今回は3つのバージョンがあり、私が観たのはAバージョン。10人の男女一人ひとりが魅力的で、生き生きしていた。ことに女優が素敵。モデル役の灘波愛は、ショートカットで色白で、可愛くセクシーだった。しどけなく肩を出す仕草にドキッとし、美しい鎖骨が露わになってさらにドキッとした。女優役の森下まひろはとにかく美しい。キツくてわがままだけど「女優」としての圧倒的なオーラを持っているという役。彼女の背中も白くて美しかった。