2015年5月に観た舞台

イキウメ『聖地X』観劇。不思議な力のある場所。そこでは、人間が望んだものが物体として出てきてしまう。誰かにそこにいてほしいと望むと、その人物の「ドッペルゲンガー」が生み出されてしまう……というお話。夫に愛想を尽かした妻が実家に帰ってくると、東京にいるはずの夫の「ドッペルゲンガー」が現れる。困惑した妻は兄とともに、夫のドッペルゲンガーが現れた場所であるオープン前の飲食店に向かう。そこでもおかしなことが次々と起きていて、店員の「ドッペルゲンガー」が出現していた……。「ドッペルゲンガー」が現れるのは、誰かがその人を望んでいるから。妻は心の底では夫を望んでいた。その場所には、人間以外にも様々なものが現れる。人が心の中で望んでいるものが形になるのだ。オカルティックな話ではあるけれど、根底にあるのは人間ドラマ。とはいえ、やはりSFではあるので、「これはどういうことなんだろう?」と頭は使う。でも疑問点はすべて回収されているので、「そういうことなのか!」とすっきりした。

岩井秀人×快快『再生』観劇。凄まじかった…。役者たちのパワーが半端ない。ものすごくかっこいい。最初のほうは、皆が、本能だけで動く動物のように見えていたのだけど、ずっと見ていると、一つ一つの動きに意味があることがわかってくる。何度も同じ動きが繰り返されるが、出てくるものはその都度違う。時間が経つにつれ疲れてくる役者たちの身体を効果的に見せる演出があるのだが、そのとき思わず笑いが漏れてしまう。役者たちの「やらされている」感じを笑いにすることで、すごくポップになっている。音楽もすごく印象に残った。特に最初の曲はメチャかっこいい。音もすごくいい。衣装や装置も凝っているし、出ている役者たちも全員華があり、単純に見ていて楽しい。多田版『再生』は、その過酷さに見ていて辛くなったのだけど、この作品は突き抜けるような明るさがある。2006年に、最初に上演された『再生』は、人が死に向かう様を通して「生」を描いた作品だった。その後、多田さんによって様々なバージョンの『再生』が上演されたけど、私が見たものはどれも「死」を感じさせた。だけど今回は、圧倒的に「生」「人間」を肯定している。

ブス会*『女のみち2012再演』観劇。面白かった!女同士、いろいろ思うことがあっても、最後には連帯して一つのことをやり遂げる。その様に感動してしまう。女の人って真面目で、女だけだときちんとルール作って物事をうまく回そうと工夫するんだよね。できない人のことはフォローするし、誰もズルしない。だけど、女だけでうまくいっていても、そこに「男」が絡んでくるとガラッと変わってしまうのが女の哀しいところだったりする。この作品には女たちに絡む男が出てこないため、より「女だけの世界」が描けている。そこは男たちが想像しているであろうドロドロしたものじゃなくて、楽しいんだ。女優さんがみんな、とにかくかっこいい。一人一人のキャラが立っている。安藤玉恵はやたらと男前だし、内田慈のコメディエンヌぶりも堪能できる。

城山羊の会『仲直りするために果物を』観劇。良くも悪くもいつもの城山羊の会といった感じ。静かな演劇の体で始まり、やがてシュールで不穏な展開になり・・・という。松井周さんがいい味を出していた。意味のあるストーリーを描いているわけじゃないからか、あまり入り込めなかった。

5月の観劇本数は4本。
快快、ブス会*がよかった。両方とも再演なのだけど。