1月に観た舞台

江戸糸あやつり人形座『泣いた赤鬼』観劇。今年の初観劇になる。面白かった。とにかくあやつり人形がすごい。途中、ありったけの人形がこれでもかというほど出てきて、なんだか見ているだけで胸がドキドキしてしまった。そしてこのストーリー。青鬼さん・・・切ない。最後は涙、涙でした。。。

co.山田うん春の祭典/結婚』観劇。素晴らしい。とにかく圧倒され、身動きもできないくらいだった。いびつでバラバラな身体が重なり合って混じり合って溶け合って・・・それでもやはりバラバラでいびつな身体が、不器用なまでに熱く踊りまくる。山田うんは今、ノリに乗っている、見逃せない存在。

宇宙レコード『リハビリテーション』観劇。これまでの宇宙レコードの作品のベストセレクション。なんと結成から18年だそう。ベストヒットだけあって、どのネタも面白かった。みんなもういい年なのに、本気でバカなことやってるのがいいな〜。小林顕作さん、中村たかしさんの弾けっぷりはすごかった。

こq観劇。『最新の私は最強の私』と『油脂越しq』の二本立て。すごく面白かった!女の人が描くエロ、というと
、なんか色っぽい美しいものが一般的な気がするが、そういう感じは皆無。まるでおっさんが動画見ながらオナニーしてるような、汚い感じのエロ。それが生き物なのか。ここまで描くのは凄い。いや、汚い感じのエロ、っていうのは違うな。汚いのではなく、変態的なのだ。性的妄想の爆発が凄い。変態すぎてもはやファンタジーの領域であるような。ポップですらあるような。ここまでやるかというような。

SPAC『真夏の夜の夢』観劇。野田秀樹が潤色したものを宮城聰が演出。面白かった!演技はもちろん、舞台美術や音楽が織りなす総合芸術として堪能できる作品。ずっと鳴り続く音楽(役者たちが生演奏している!)が頭から離れず、まるで麻薬のよう。人間と妖精が繰り広げる夜の夢のような物語。野田秀樹の脚本は、前半はわりと原作に忠実に思えたが、後半はガラリと変わり、俄然面白くなる。原作で突っ込みたくなるところをちゃんと突っ込んでくれてスッとした(ヘレナの心の声とか)。メフィストフェレスがキーマンとなって物語が解体されていく様はゾクゾクした。すべてがなくなった後に、新しいものが芽生えてくる・・・という、生命の源泉。ラストの台詞がすごく美しい。普通に生きていても、意識しさえすれば、もしかしたら妖精がいるのかもしれない。いないのかもしれないけど。野田さんの書く台詞は想像力を刺激する。宮城聰の演出は、とにかく総合的に美しい。視覚的にも聴覚的にも。ただ、そのややまったりした雰囲気は、野田秀樹の台詞にはあまり合わないかも・・・とも思った(特に前半はまったりしすぎ?)。これが野田さんの演出だったら、もっとスピード感があって全然違うだろう。

おかぼれ『続ける理由』観劇。ん、これ、芝居じゃなくてライブなのか?芝居仕立てのライブなんだな。生バンドで音楽はよかったけど、芝居は・・・。安藤聖ちゃんが最高の笑顔で歌って踊り、ドラムを激しく叩いている姿はとてもよかった。なんかすごく楽しそうで、観ているこちら側も幸せな気分に。

柿喰う客『世迷言』観劇。日本の古典にインスパイアされて作られた作品らしく、テイストも「中屋敷歌舞伎」という感じ(篠井英介さんもパンフでそう言っている)。歌舞伎や能や狂言の要素を含ませ、今までの柿とは違った雰囲気を作り出すのに成功。『竹取物語』がこうなるか!と新鮮。大胆な切り口。

ブス会*『男たらし』観劇。今までは女だけの芝居のなかで女の醜さとか愚かさを描いてきたブス会*だが、今回は初の試みとして女1人と男5人の物語を描いた。「ゲス」な複数の男たちを通して露わになっていく女の実態。面白かった。派手な話ではないけど引き込まれる。自分が舞台の一部になったよう。「ずっと観ていたい」と思った舞台は久しぶり。それだけ舞台が醸し出す空気に自分が馴染み、心地よくなり、共感した、ということ。男も女も、みんなダメな人ばかりだけど、悪い人はいない。だからその愚かさを「バカだなー」と思いながらも共感もする。みんな憎めない愛すべき人たちなのだ。内田慈演じた女性には特に共感できる。20代の頃、「地位や金のある男にすり寄り、彼らを落とすことが生きがいだった」女性。数多くの男を「たらし」、不倫したりも。しかし30代になって焦ってきたのか、ダメな男に引っ掛かってしまう。そこからまた這い上がっていく女の根性・・・。この女は、ちょっとかっこいいと思った。男に振り回されるだけで終わらず、まあ振り回されてる時点で十分ダメかもなんだけども、その後自分なりの「生き甲斐」を求める。だけど業みたいなものがあり、どうしても男を求めてしまう。うんうん、そうなんだよね。仕事だけじゃ満たされない・・・。この女性は、モテるからこそ、かえって結婚から遠ざかっている。男にとっては、セフレや恋人ならよくても、結婚相手ではないのだ。こういう女性はわりと多いと思う。若い頃ちやほやされた分、プライドも自信もあるから面倒くさく、30過ぎたころには、男が寄りつかなくなる・・・。登場した男たちは、思っていたほど「ゲス」という感じはしなかった。古屋隆太さん演じた男は典型的なダメ男だけども、弱くて憎めない感じ。佐野陽一さん演じた男は男尊女卑のところがあるが、たぶんほとんどの男性はそう思っているはずだから、ごく普通ともいえる。


1月の観劇本数は8本。
ベストワンはブス会*『男たらし』。