12月に観た舞台

毛皮族『血も涙も靴もない』観劇。いつもの毛皮族よりちょっとシリアスな会話劇。いくつかのエピソードが交錯しつつ、お金の話がテーマ?なんか世知辛い感じ。面白くないことはなかったけど、爽快感はなかったな。毛皮族の芝居にはもっと爽快感がほしい。

MODE『失踪者』観劇。MODEがこれまで行ってきたカフカ三部作を、時間を縮めて新たに連続上演するという試み。一気に『失踪者』『審判』『城』の三作を上演するとは、なんかもう気が狂ってるとしか思えないような物凄いこと。今日観た『失踪者』は時間が縮まりシンプルになっていた。

城山羊の会『身の引きしまる思い』観劇。三鷹での公演ではもはや恒例?森元さんがまた…。本編は、わりといつも通りの城山羊の会という感じ。男と女、母と娘…それぞれの思惑や欲望が渦巻く世界…。大きな展開はないが、セリフや間が絶妙で、いつのまにか引き込まれる。終わり方があっさりしすぎかな?

サスペンデッズ『さよならを教えて』観劇。中学時代の同級生3人。うち2人はカップルで一緒に内装会社をやっており、もう一人の女性がそれを手伝っている。しかしそれぞれ複雑な事情がある。そんなあれこれが中学時代の回想を織り交ぜて展開。内装会社で働く男たちやクライアントも含めた人間模様。

バック・トゥ・バック・シアター『ガネーシャVS.第三帝国』観劇。知的障碍を持つ俳優たちとともに創作を続けているオーストラリアの劇団。インドの神ガネーシャの冒険譚と、それを上演する劇団内でのいざこざを描く。この構成が面白い。特に劇団内でのいざこざのシーンはユーモアに溢れ、笑えた。

iaku『目頭を押さえた』観劇。面白かった。台詞のやりとりだけですべてを丁寧に描いていく。台詞や間合いがすごく自然で、いつの間にか作品世界に入り込んでしまう。気がつくとそこで起きた出来事や人物の思惑に激しく心を揺さぶられていた。最後まで観て改めてその構成の巧みさに唸らせられる。俳優がどの人もとてもよかった。七味まゆ味さんは柿喰う客では見れないようなきれいなお姉さん風で新鮮。坂本先生役のうえだひろしさんはすごく線の細いメガネ男子で、めちゃくちゃセクシーだった。。。女子高生二人もとても可愛い。子役の男の子のラストの変貌ぶりはインパクトがあった。

チェルフィッチュ『地面と床』観劇。震災後の日本で、生者と死者との対話を描き、様々な立場の人がいること、関係が断絶していることの危機などを示す。内容は興味深いが、明確なストーリーもなく、登場人物が淡々とセリフを言うだけで、そこに心地よい音楽がかかり、寝てしまった。セリフは示唆に富み、特に青柳いづみ演じる、子どもを宿した女性のセリフは切実。佐々木幸子のシーンが面白かった。

ピアノと物語『ジョルジュ』観劇。ジョルジュ・サンドと弁護士ミッシェルの往復書簡の朗読とショパンピアノ曲の生演奏で、サンドとショパンの恋愛、ショパンの生涯を描く。朗読の内容と曲目がリンクしていて構成が考えられている。曲はどれも私の好きな曲ばかりで嬉しかった。サンドはかっこいいな〜。。。

DULL-COLORED POP『アクアリウム』観劇。うーん、あんまり好みじゃなかったかな・・・。ストーリーよりも演技スタイルを重視してるような。登場人物の独白、観念的な長台詞が多かったり、狂言回し的な役割の役者の演技がオーバーアクションだったり。そういう演出が好みじゃなかった。あと、言葉をしゃべるワニと鳥が出てくるのだが、ちょっと自分には意味がよくわからず。リアルな芝居じゃない、ちょっと抽象的な感じにしたかったのかな?役者でよかったのは中林舞。ちょっと弾けたOL役なのかな、珍しいな、と思って観ていたら、後半で見事なキレっぷりを発揮。いつもながら、この瞬間的に切り替わるというのがすごいと思う。憑依か?堀奈津美のキレっぷりもすごい。シュークリーム!

12月の観劇本数は9本。
ベストワンはiaku『目頭を押さえた』。