2月に観た舞台

FUKAIPRODUCE羽衣『サロメVSヨカナーン』観劇。最初のほうは乗れなかったが、『ゾロ目の歌』がすごくよくて心をつかまれた。そのあとの『セックスのない夜』のシーンもよかった。羽衣を見るといつも切なくなる。恋愛の最高潮にあるカップルを描いているが、それっていつか終わるから・・・。

『教授』観劇。高橋一生が出ていたから観に行ったが、話が面白くなく退屈。アフターライブも歌はともかくトークが長すぎて退屈だった。

範宙遊泳展『幼女Xの人生で一番楽しい数時間』観劇。すごく面白かった!山本卓卓の一人芝居『楽しい時間』と『幼女X』の二本立てなのだが、単なる二本立てではなく、仕掛けがあって、それにやられてしまった。「上演されているその時間ばかりが演劇なのか」という疑問から出発した作品だという。範宙遊泳は前に観たときもメタ演劇っぽいことをやっており、それもすごく面白かったのだが、今日観てやはり面白いことを試みている劇団だと思った。特に最初の『楽しい時間』での掴みがすごくうまくて、乗せられてしまった。新宿眼科画廊という空間もよかった。

ホナガヨウコ×木下美紗都『君の知らない転び方』観劇。すごく面白かった。ダンスも音楽も美術も、ベースとなっている物語もすごく素敵。何気ない日常の物語が、キラキラと輝いて見える。ダンスやったり歌を歌ったりセリフを言ったり、とにかく情報量が多く、最後まで飽きずに観られた。

風琴工房『国語の時間』観劇。日本統治下のソウルで、日本語を国語として教えた朝鮮人教師たちの群像劇。うーん、力が入っているのはわかったけど、あんまり面白くなかった・・・。ストーリーに吸引力がなく、登場人物に魅力的な人もいなかった。演出も平板でメリハリがない。なにより長すぎる。疲れた。

さいたまネクスト・シアター第4回公演『2013年・蒼白の少年少女たちによるオイディプス王』観劇。素晴らしかった!役者たちの若いエネルギーが伝わってくる。どの人も皆一生懸命でキラキラしていた。特に主役のオイディプス王役の小久保寿人はすごい迫力!改めて観ると、『オイディプス王』ってこんなにわかりやすい話だったっけ?とか思った。役者たちの台詞を伝える技術や身体の使い方がすごくて、引き込まれる。コロスの三味線も効果的。通路を使った演出もよかった。ラストの奥を開けた演出はものすごくいい!さいたま芸術劇場の良さが生かされている。

iaku『エダニク』観劇。すごく面白かった!食肉の解体・加工を行う屠場の休憩室を舞台にした会話劇。別屠室で任務についている男二人と、そこに突然現れたチャラチャラした男。三人は皆自分の立場や人生がある。後半、三人が自分の主張を通そうと、緊迫したやりとりが繰り広げられるのが面白い。沢村は、三人のなかでは一番普通の男といえるだろう。相手が自分より上の立場の人間だとわかった途端に態度を変えたり、職を失わないために土下座までする姿は滑稽で哀れだ。だが彼には守るべき家族があり、家族のために働き続けることが彼の人生なのだ。私は沢村が土下座するシーンで涙が出た。玄田は、頑固な職人といった感じ。誰にも媚びを売らず、自分のスタイルを貫く。そんな彼にも悔いている過去や救いたい人がいて、その人のために事態をなんとかしようと彼なりに奮闘する。それが悪いほうに転んでしまう・・・。不器用な人なのかもしれない。伊舞は、私には一番興味深く、三人のなかでは一番自分に近いような気がした。彼は周りの空気が読めないボンボンだが、そんな彼にも自分なりの想いがあることが後半明らかになる。何不自由ない人生を送っているように見える彼も、自分がやがて就く仕事に対する葛藤がある。ラストで、玄田が伊舞に言う「本物の職人の技を見せたる!」という台詞は、とってもかっこよかった。これは、三人の男を通して社会や労働について描いた傑作だ。

男肉 du SOLEIL『HIPHOP侍vsレゲエ侍』観劇。本公演を観たのは初めてだったが、これはすごい、すごすぎる!!上半身裸の男たちがハイテンションで狂ったように歌や踊りを繰り返し、女はポールダンスしまくる。観客も興奮状態で手拍子し、掛け声をかける。役者たちはどんどんヒートアップしていき、汗を流しながらパワフルに動きまくり、客席に乱入も!そこはまさに興奮の坩堝!!私が求めていたのはまさにこういう舞台だった。なにが飛び出すかわからない、最高にバカバカしくて無駄にパワフル。とにかくすごく楽しかった。なんか、出会ってしまった感。次回も絶対行く!また、上演中撮影自由だったりなど、なんでもアリな感じもいい。観客へのサービスも十分で、すごくなんというかハートフルだと思った。

柿喰う客『発情ジュリアス・シーザー』観劇。女優だけのシェイクスピアシリーズ第三弾。古代ローマの政治劇を、日本の時代劇風に演じる。つまらなくはなかったが、あまり響いてこなかった。政治劇で男たちの話だから、登場人物の気持ちがよくわからず。男優だけでやったほうが面白かったかも?それにしても今回は、知らない女優さんが多かった。シーザー役をコロさんがやっていたらどうだったかな、とか思った。ブルータス役の深谷由梨香がかっこよかった。ブルータスみたいな男はかっこいいと思う。

猫のホテル『あの女』観劇。千葉雅子作、ノゾエ征爾演出。中村まこと、森田ガンツ市川しんぺーによる三人芝居。木嶋香苗の事件をモチーフにしたもので、いつもの猫ホテとはちょっと違った感じ。三人の役者の魅力はよく出ていたが、笑い所はいつもより少なかった。

2月の観劇本数は10本。
ベストワンはiaku『エダニク』、男肉 du SOLEIL『HIPHOP侍vsレゲエ侍』。
ほか、ホナガヨウコ、範宙遊泳、『2013年・蒼白の少年少女たちによるオイディプス王』もすごくよかった。