青年団リンク　水素74％『謎の球体Ｘ』

作・演出◇田川啓介　出演◇川隅奈保子　古屋隆太（サンプル）　村井まどか　菅原直樹　富田真喜　森岡望　由かほる（以上青年団）　玉田真也
9/2〜11◎三鷹市芸術文化センター　星のホール

以下、ネタばれあり。

第一回公演にしてMITAKA“Next”selectionに選ばれた水素74％。どんなユニットなのかなんの前情報もなかったけれど、青年団リンクだし、俳優も青年団の人ばかりだし、MITAKA“Next”selectionなんだから面白いに違いないと思い観に行った。そして確かに面白かった。
まず劇場の使い方に驚いた。あの広い空間を逆手にとってこんなふうに使うやり方があったとは。
話は、ある奇妙な家族の話。夫は「家族以外は全員敵だ」という考えの持ち主で、かなり過剰な人物。妻は夫に過剰に従う。妻の妹は自分の存在価値を理解してくれる人を求めている。
ちょっといっちゃったような人ばかりが登場するいっちゃってる芝居。初期のスロウライダーや乞局、エレファントムーンをもっとライトにしたような感じ。自分の好みとしては、もっとディープにしてほしい、というか、もう一捻りほしい感じも。もっといけると思う。もっと強烈な不快感を味わいたかった気が。乞局とかを普段観ているから（乞局は強烈に後味が悪い）、こういう「ちょっと不快」な芝居には慣れてしまったのかもしれない。
けれど、このくらいの濃さが好ましいと思っている人にとっては、ちょうどよい感じだったのでは。不快感もそんなにないし。
登場人物はどの人もギリギリ正気を保っているように思え、それがリアルでもある。ラストは夫婦の愛情すら感じられた。
台風が来ている、という設定は、今の日本の状況を反映しているのかな。