青☆組『パール食堂のマリア』

青☆組『パール食堂のマリア』

作・演出◇吉田小夏 出演◇荒井志郎(青☆組) 福寿奈央(青☆組) 林竜三(青☆組) 藤川修二(青☆組) 足立誠(青年団) 木下祐子 郄橋智子(青年団) 天明留理子(青年団) 石松太一(青年団) 大西玲子 小瀧万梨子(青年団) 櫻井竜 如月萌
7/29〜8/7◎三鷹市芸術文化センター 星のホール


以下、ネタばれあり。



昭和47年の横浜のある港町が舞台。
「パール食堂」は、店主の水島正造(藤川修二)と長女の鞠子(福寿奈央)、住み込みのコック牧田光冶(石松太一)が切り盛りしている。
正造の次女の史子(郄橋智子)は高校教師をしている。生徒の亮太(櫻井竜)が母親の典子(天明留理子)に反発し、パール食堂をしょっちゅう訪れている。史子は同僚の松田潤一(荒井志郎)に恋心を抱き、いい感じの雰囲気に。
パール食堂の隣りにはゲイバーをやっているクレモンティーヌ(足立誠)がいる。
町内会長の井坂善次郎(林竜三)はストリップ小屋をやっていて、そこでは善次郎の恋人のユリ(小瀧万梨子)とその妹分の幹子(如月萌)がストリッパーとして働いている。
また、パール食堂の裏口あたりに、いつも街娼の女(木下祐子)が立っている。
昭和47年の人々の生活を温かく描いた群像劇。様々な形の「母子」の話が出てくる。全員の背景をきちんと描いていて、群像劇としてよくできている。全体的に綺麗な話という感じがして、吉田小夏さんという人は、毒のないいい人なのだろうなあと思った。
とはいえ、母親が実はアメリカ兵にレイプされていたとか、そのときに孕んだ赤ん坊が死産になったとか、ユリが乳癌に侵され乳房をとったりとか、いろいろダークなエピソードもある。
けれど、最終的にはすっきり綺麗にまとめていた。そこに少々物足りなさも覚えたが、群像劇としては上出来では。