8月前半の気になる舞台

8月前半の舞台で気になるものを、初日の早い順に。


劇団鹿殺し夏の女優祭り『岸家の夏』
7/28〜8/7◎青山円形劇場、8/19〜21◎大阪 ABCホール
作◇丸尾丸一郎 演出◇菜月チョビ 出演◇菜月チョビ 丸尾丸一郎 オレノグラフィティ 山岸門人 橘輝 円山チカ 傳田うに 坂本けこ美 山口加菜 浅野康之 水野伽奈子 鷺沼恵美子 峰ゆとり 近藤茶 谷山知宏(花組芝居) 千葉雅子猫のホテル) 峯村リエNYLON100℃
http://shika564.com/kishike/top.html

千葉雅子峯村リエというベテラン女優をゲストに迎えた本作。柔道場で育ったという設定の千葉、峯村、チョビの三姉妹が、人生に迷い疲れ立ち向かう話だという。それだけでなにやら面白そう。鹿殺しだから当然ロックな歌のシーンもあるだろうし、そこに千葉さんや峯村さんがどう絡んでいくのかが見どころかと。



青☆組『パール食堂のマリア』
7/29〜8/7◎三鷹市芸術文化センター 星のホール
作・演出◇吉田小夏 出演◇荒井志郎(青☆組) 福寿奈央(青☆組) 林竜三(青☆組) 藤川修二(青☆組) 足立誠(青年団) 木下祐子 郄橋智子(青年団) 天明留理子(青年団) 石松太一(青年団) 大西玲子 小瀧万梨子(青年団) 櫻井竜 如月萌
http://theater.aogumi.org/?eid=1534799

ポツドール、サンプル、イキウメ、ままごとなど、今人気の劇団が数多く出演しているMITAKA "Next" Selection。その12回目に選ばれた3団体のひとつが青☆組。吉田小夏が描く「何気なくも瑞々しい、温かい」世界観は、じわじわと心に染み入るものがある。公式サイトによると、今回は「横浜の片隅にかつて実在したある女をモチーフに、おおきな歴史のうねりの中で続く人間の営みと、女達の艶やかな日々を、瑞々しく描く群像劇」だそう。吉田の描く「女」像にも注目だ。



cube presents『奥様お尻をどうぞ』
7/30〜8/28◎本多劇場、9/1〜4◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
作・演出◇ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演◇古田新太 八嶋智人 犬山イヌコ 大倉孝二 入江雅人 八十田勇一 平岩 紙 山西 惇 山路和弘
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/kera-furuta11.html

ケラリーノ・サンドロヴィッチが作・演出を、古田新太が座長を務めた『犯さん哉』(07年)から早4年。あまりのナンセンスさといい意味での下らなさに、毀誉褒貶を浴びた『犯さん哉』のチームが、性懲りもなく再集結。チラシによると、「前作と似たり寄ったりのデタラメをさらに徹底的にやる」という。個人的に前作は好きだったので、どこまでデタラメを徹底的にやっているのか観てやろうかという気持ちに。また、徳永京子さんによるマンスリー・ブリコメンド(http://d.hatena.ne.jp/bricolaq/searchdiary?word=%2A%5Bbricommend%5D)によると、「原発問題を初めて笑いの俎上に乗せた表現。それも社会派の笑いでなくナンセンスコメディだから、観客は少なからず『笑っていいのか』と思うだろう」とのこと。うーん、興味深い。



オフィス3○○音楽劇『ゲゲゲのげ〜逢魔が時に揺れるブランコ』
8/1〜23◎座・高円寺
作・演出・出演◇渡辺えり 出演◇中川晃教 馬渕英俚可 松村武 若松力 友寄有司 土屋良太 広岡由里子 奥山隆 吉田裕貴 多賀健祐 谷口幸穂 川崎侑芽子 加藤亜依 ほか 
http://office300.co.jp/top_page.htm

座・高円寺のHP(http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=479)による作品解説・見どころは以下。
「『ゲゲゲのげ』は、1982年に初演、1983年に岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家・渡辺えりの代表作です。
いじめられっ子だった作家自身の体験を元に書かれた本作は「愛する者を失った喪失感をいかにして埋めていくか」をテーマにした物語。この「心に空いてしまった黒い闇の中に入り込み、それを直視していこうとする物語」は「ある老婆の喪失感を埋めるための妄想でもある」と作家は語ります。
人と人との関係がますます希薄化し、大量のモノによって「心の黒い闇」がつぎつぎに埋め尽くされていく現代、人々が自分の闇の存在にすら気が付くことなく日常を送っているこの時代に、四半世紀を超えて語られるこの物語は、孤立してしまった現代人の潜在化した心の闇を暴きだすことでしょう。
全編生バンドの演奏で、劇中歌を増やしてお届けします。座・高円寺の空間を最大限生かした、新しい『ゲゲゲのげ』をどうぞお楽しみに。」
うーん、面白そうではないですか。個人的には、中川晃教君が出ているのが嬉しいですね。



虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』
8/2〜21◎シアターグリーン BIG TREE THEATER
作・演出◇鴻上尚史 出演◇大久保綾乃 大杉さほり 小沢道成 小野川晶 杉浦一輝 高橋奈津季 三上陽永 山崎雄介 渡辺芳博 / 大高洋夫
http://kyokou.thirdstage.com/info/00100200

1988年の初演以来、海外公演、ミュージカル公演等での再演が評価を受けた「第三舞台」の代表作を7年ぶりに鴻上尚史の演出で再演。
有名な作品らしいので、なんとなく観てみようかと。
第三舞台」は復活したかと思えば解散したりと、話題を振り撒いていますね。



キャラメルボックス・アナザーフェイス『ナツヤスミ語辞典』
8/3〜11◎新国立劇場 小劇場
脚本◇成井豊キャラメルボックス) 演出◇中屋敷法仁(柿喰う客) 出演◇多田直人 渡邊安理 井上麻美子 鍛治本大樹 林貴子 原田樹里(以上キャラメルボックス) 七味まゆ味 コロ 深谷由梨香 村上誠基 永島敬三 大村わたる 右手愛美(以上柿喰う客) 熊川ふみ(範宙遊泳) 川田希 森下亮(クロムモリブデン
http://www.caramelbox.com/stage/natsuyasumi2011/

キャラメルの成井さんの脚本が、柿喰う客の中屋敷さんの演出でどうなるのか。出演者も柿喰う客の主要メンバーが出ていて、注目。



サスペンデッズ『g[ジー]』
8/4〜7◎ザ・スズナリ
作・演出◇早船聡 出演◇伊藤総 佐藤銀平 佐野陽一 田口朋子 尾浜義男 白州本樹
http://www.suspendeds.net/

地味ながら良作を多数送り出しているサスペンデッズの新作。サスペンデッズは当たり外れもわりとあるので、今回が良いかどうかは観るまではわからないが、良い可能性は高い。作・演出の早船さんは、新国立劇場に『鳥瞰図』を書きおろして評価されたりなど、今注目されている劇作家。



ブルドッキングヘッドロック『毒と微笑み』
8/4〜10◎中野ザ・ポケット
作・演出◇喜安浩平ナイロン100℃) 出演◇西山宏幸 篠原トオル 永井幸子 寺井義貴 馬場泰範 藤原よしこ 深澤千有紀 岡山誠 津留崎夏子 林生弥 喜安浩平 甘粕阿紗子(カムヰヤッセン) 石原美幸 遠藤留奈(THE SHAMPOO HAT) 佐瀬恭代 関寛之 戸泉真衣 栩原楽人 凪沢渋次(ナギプロ) 松下幸史(動物電気/乱雑天国) 加瀬澤拓未 竹井亮介(親族代表) 長田奈麻(ナイロン100℃
http://www.bull-japan.com/home/

ブルドッキングは、毎回、面白いです。作・演出の喜安さんがナイロン100℃の役者さんなので、KERAの影響が強く、ナンセンス臭が強いですが、物語の構成がしっかりしていて、幾重にも伏線が散りばめられていたりと、びっくりするほど緻密です。登場人物が多数出てきて、それぞれの人物を細かく描写しているのも特徴だと思います。今回は個人的には初登場の遠藤留奈さんに期待しています。



パルコ・プロデュース『クレイジーハニー』
8/5〜28◎PARCO劇場
作・演出◇本谷有希子 出演◇長澤まさみ 成河(ソンハ) 安藤玉恵 吉本菜穂子 リリー・フランキー  中野麻衣 坂口辰平 太田信吾 札内幸太 池田 大 中泰雅 北川麗 鉢嶺杏奈 加藤諒 清水葉月
http://www.parco-play.com/web/page/information/crazyhoney/

個人的には、本谷さんの作品も当たり外れがあるように思う。なのでこの作品も実際に観るまでは良いかどうかわからない。けれど、やはりこの豪華出演者には注目してしまう。長澤まさみには興味ないけど。リリー・フランキーも別に。なんといってもチョウソンハ改め成河さんに大期待。あとは安藤玉恵さん、吉本菜穂子さんの名前が出ているのが、小劇場ファンとしては嬉しい。



キリンバズウカ『マッチ・アップ・ポンプ』
8/6〜14◎川崎市アートセンター アルテリオ小劇場
脚本・演出◇登米裕一 出演◇日栄洋祐 渡邉とかげ(クロムモリブデン) 根岸絵美(ひょっとこ乱舞) 平田裕一郎 田中こなつ 金丸慎太郎(贅沢な妥協策) 小笠原結(劇団兄貴の子供) 内田周作 深貝大輔
http://kirinba.seesaa.net/

キリンバズウカは『スメル』という作品を観たことがあり、それがわりと面白かった。一度しか観ていないので、今回も面白いかどうかははっきりわからないが、チラシや出演者を見ても、いかにも面白そうな感じが伝わって来る。期待しています。



キャラメルボックス2011サマーツアー『降りそそぐ百万粒の雨さえも』
8/6〜28◎サンシャイン劇場、9/3・4◎名鉄ホール、9/10〜18◎新神戸オリエンタル劇場
脚本・演出◇成井豊真柴あずき 出演◇左東広之 畑中智行 三浦剛 坂口理恵 岡田達也 大内厚雄 岡内美喜子 温井摩耶 筒井俊作 實川貴美子 阿部丈二 小多田直樹
http://100mantsubu.com/

キャラメルボックスの芝居は好きですが、キャラメルの時代劇はさほど好きではない。でも今回は私の好きな新撰組の話で、かつ私の好きな俳優の畑中智行君が沖田総司の役をやるということで、ちょっと観たいなあと思いました。



パラドックス定数『トロンプ・ルイユ』
8/9〜14◎中野 劇場HOPE
作・演出◇野木萌葱  出演◇植村宏司 西原誠吾 井内勇希 加藤敦 生津徹 小野ゆたか
http://www.pdx-c.com/?cat=4

パラドックス定数は、実際にあった事件を元に緻密かつ硬派な会話劇を描くのが特徴。『三億円事件』や『東京裁判』などは、実際にあった事件を元にフィクションを描き、高評価を得た。とはいえ、実際にあった事件を元にしていないオリジナルの作品も数多い。今回はチラシのあらすじを見ると、競馬の話なのかな?実際にあった事件を元にした話のほうが、パラドックス定数は面白いのだが、今回はそうではないようだ。どうなるか。



こゆび侍『こゆび侍の標本Vol.2&3』
8/9〜14◎ギャラリー・ルデコ5F
●こゆび侍の標本 Vol.2 『いつか』〜福島崇之一人芝居!  作◇成島秀和 演出◇池亀三太(ぬいぐるみハンター) 出演◇福島崇
●こゆび侍の標本 Vol.3 『タルチュフ』〜愚かで哀れな、性格喜劇!  作◇モリエール 演出◇成島秀和 出演◇廣瀬友美 飯田一期 川田智美 工藤史子 斉藤祐一(文学座) 志水衿子(ろりえ) 佐河ゆい 蓮根わたる 萬洲通擴 宮崎雄真 森崎健吾
http://blog.koyubi.chips.jp/?cid=3

こゆび侍は、「15mm」で一度観たことがあり、それが面白かったので、本公演も観たいと思っていた。今回は本公演ではないようだが、面白そう。特に『タルチュフ』は、出演者も面白いメンバーが揃っている。



ニッポンの河川『大きなものを破壊命令』
8/10〜14◎こまばアゴラ劇場
脚本・演出◇福原充則(ピチチ5) 出演・音響・照明◇森谷ふみ 光瀬指絵 寺西麻利子(セキララ) 佐藤真弓(猫のホテル
http://jriver.exblog.jp/

出演者自らテープレコーダーを操作して音響を担当。照明も出演者たちがやる。コンパクトな空間のなかに、福原充則描く壮大な世界が繰り広げられる・・・。とにかく日常的な小さな空間に立ち上がる異次元、というのが大きな魅力。そして福原の脚本がまた面白い。さらに役者が脚本を上回るほど面白い。役者が一人何役もやったりするし、時空間も簡単に超えちゃうし。ひとつの役から別の役へパッと切り替わる瞬間がすごい。その瞬間、観客も別次元へ連れて行かれる。これは超おすすめです。



トム・プロジェクト プロデュース『エル・スール』
8/10〜14◎笹塚ファクトリー
作・演出◇東憲司 出演◇たかお鷹 松金よね子 冨樫真 岸田茜 清水伸
http://www.tomproject.com/works/eru2011.htm

桟敷童子の東憲司が作・演出を担当。古い時代の話のようだ。出演者がベテラン揃いだが、面白いかどうか。



Project Nyx 第7回公演『伯爵令嬢小鷹狩掬子の七つの大罪
8/11〜21◎ザ・スズナリ
作◇寺山修司 構成・美術◇宇野亜喜良 演出◇金守珍(新宿梁山泊) 出演◇寺島しのぶ 水嶋カンナ 松熊つる松(青年座)  村田弘美(万有引力)  遠藤好(青年座)  市川梢 傳田圭菜 南かおり 今井和美 白井妙美 野口和美(青蛾館)  フラワー・メグ 中山ラビ ゆか(黒色すみれ)  さち(黒色すみれ)  高橋理通子(天空揺籃)  ルナティコ
http://www.project-nyx.com/pinfo/index.html

なぜ、寺島しのぶがこの舞台に!?という驚きがまずある。それがほとんどすべて。寺山の芝居で、金守珍演出で、宇野亜喜良美術だったら、そこそこ良い作品にはなるのでは。



ブラジル『さよならまた逢う日まで
8/14〜16◎紀伊國屋ホール
脚本・演出◇ブラジリィー・アン・山田 出演◇中川智明 西山聡 櫻井智也(MCR) 諫山幸治 信國輝彦 服部ひろとし 加藤慎吾 高山奈央子(KAKUTA) 奥田ワレタ(クロムモリブデン
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/sayonara-mata.html

ブラジルは何度か観ているが、面白いです。いわゆる「苦笑系ドタバタ劇」。ドタバタしていても、人間の感情がちゃんと丁寧に書かれているから、しんみりする。人間の感情に直に訴えかけてくるようなドタバタが繰り広げられる。リアルでもないし、ウェルメイドとも言い切れないんだけど、なぜか心が惹きつけられる。そんな作品。紀伊國屋ホール進出はめでたいが、大きな劇場空間をどう使うのか。