毛皮族の軽演劇2011『おひゃさま』

毛皮族の軽演劇2011『滑稽を好みて人を笑わすことを業とす』
U演目『おひゃさま』

作・演出・出演◇江本純子 出演◇金子清文 羽鳥名美子 高野ゆらこ 柿丸美智恵
7/23〜8/9◎リトルモア地下


江本純子扮する達者田敏子と金子清文扮するおっさんが何らかのことで大活躍する軽演劇のドル箱おそばシリーズ第5弾。
相変わらずの江本さんと金子さんのグダグダぶりが楽しい。タイトルからも連想されるように、『おひさま』のパロディあり、北風と太陽の対決あり、時事ネタありと盛りだくさんで面白かった。
私は『おひさま』は観てないのでパロディの部分はよくわからなかったが、終演後に友人に聞いてなんとなくわかった。
まあ、『おひさま』を観てなくても楽しめるけど、観てる人はもっと楽しめるかもしれない。
震災ネタがやはりあって、冒頭、敏子が「こんなことはどうでもいいことなのよ!今は東日本大震災以外に重要なことなんてないわ!今考えるべきことは原発問題よ!」みたいな台詞を言う。もちろん深刻な感じで言っているわけではなく、むしろ笑いを誘うように言っている。けれど、昨日の『語りのゴミ』に続いての震災ネタ。もちろん、震災に触れずに作品を作れる人もいるだろうけど、江本さんはどんな形にせよ触れずにはいられなかったんだろう。そのほうがアーティストとして正直な気がする。だって、あったことをさもなかったことのように扱うのって、アーティスティックじゃない。
5月上旬にナカゴーという劇団の芝居を観に行って、その作品もやはり震災のことをネタっぽく扱っていたのだが、そのとき、正直、笑っていいものかどうか戸惑ったのだった。まだ震災のことが生々しかったし、原発問題も明らかにされてない時期だった。
でも、今日の毛皮族では、笑ってしまった。江本さんのキャラクターもあるけれど、自分の捉え方が変わったのかもしれない。
・・・まあ、この芝居は全く深刻な芝居ではなく、ただ江本さんと金子さんのグダグダなアドリブ合戦を観ているだけで笑える・・・という、ある意味特殊な芝居。観客もおそばシリーズを何作か観ていて、そういうものだとわかって来ているような雰囲気。もちろん、初めての人でも楽しめると思います(私の友人は初めてだったが楽しんでいた)。
今日は、私のところに、柿丸さんが脱ぎ捨てたセーラー服が飛んできて、面白かった。