ジェットラグプロデュース『11のささやかな嘘』

ジェットラグプロデュース『11のささやかな嘘』

作◇ブラジリィー・アン・山田(ブラジル)  演出◇古川貴義(箱庭円舞曲)
出演◇古山憲太郎(モダンスイマーズ) 飛鳥凛 清水那保 梅舟惟永(ろりえ)  酒巻誉洋 李千鶴  千紘れいか  岡崎貴宏(アンティークス) はやし大輔(東京バンビ)  ぎたろー(コンドルズ) 板垣雄亮(殿様ランチ)
7/15〜18◎銀座みゆき館劇場

10年前に『麦茶』で芥川賞を受賞した作家の夏木修介が自殺した。彼は10年もの間、ずっと書けなかったのだ。遺書には「もう書けない」と書かれていた・・・。
夏木の四十九日。生前の夏木と交友関係があった人々が次々と家を訪れるが、夏木の妻の早紀子(李千鶴)は、夏木から交友関係の話はなにも聞いていず、夏木の弟子で近所に住んでいる弥生(梅舟惟永)以外は知らない人間ばかり。
訪れたのは、夏木の担当編集者の山路(板垣雄亮)、出版社勤務でパーティーで夏木と知り合ったという澤田麻美(清水那保)、夏木の大学時代の友人だという榊(酒巻誉洋)、フリーライターの押川(ぎたろー)、夏木の12年前の恋人の秋野ちほ(千紘れいか)、夏木のメル友だという三橋恵理乃(飛鳥凛)、横浜駅で夏木とぶつかりPCを壊されたという田村(はやし大輔)、夏木の親友の根米の兄の飯島(岡崎貴宏)。
訪れた人は、夏木にお金を貸していたり、約束をしていたり、浮気相手だったり。徐々にそれぞれの人と夏木との関係が明らかにされていく。
そんななか、唯一現実味のない存在である古山憲太郎。どうやら夏木が飼っている猫のようだが、誰かが憑りついているようだ・・・。
終盤にかけ、古山が何者なのか、そして夏木が死ぬ前に起こった出来事が明かされる。
ネタばれになるので書かないが、思ったのは、「作家って大変だな〜」ということ。
10年間も書けないなんて・・・その間、生活はどうしていたんだろうか。
というか、普通、10年も書けない作家なんてとうに世間から忘れられてしまうだろう。
特に最近は1〜2年単位で、売れる作家がころころ変わっているような印象を受ける。
消費社会である現在、才能ある新人はどんどん出てくるし、一時期人気があっても、次々売れる小説を書かなければ、人気が落ちるのも早い。
そういう意味では、ちょっとこの芝居の設定は現実味がないかな・・・とも思った。