7月11日までに観た芝居

このブログを開設する前の、7月11日までに観た芝居を簡単に。

演劇実験室万有引力『夢の国シンクウカン』観劇。寺山修司の「ラジオのための叙事詩」コラージュ構成。演出・音楽・美術はJ・A・シィザー。素晴らしかった!寺山作のラジオドラマを軸に、様々なシーンが錯綜する。生演奏で寺山の芝居の音楽が演奏されるのにも感動!そして生の寺山の声は萌えた!『シンクウカン』は、寺山ファンにとっては萌え要素満載の舞台だった。座・高円寺の舞台を見事に使いきった演出・美術や、じかに迫ってくる音楽も鳥肌ものだった。音楽は今でも耳に突き刺さってくる。空間を埋める役者たちの演技もすごい。ひとつのシーンの後に別のシーンがパッと現れるのもかっこいい。

蜷川幸雄演出『血の婚礼』観劇。舞台上にずっと降り続ける雨と、それに負けない役者たちの熱演にやられてしまった。装置もダイナミック。真ん中に立つ窪塚洋介は、不思議なカリスマ性がある。昔からずっと好きだった窪塚洋介が、まさかこんなに舞台俳優として成功するとは。まさに蜷川さんの眼力。清水邦夫の戯曲は個人的にはとても好きなのだけど、今回に関しては、最後のシーン以外はあまり迫ってくるものがなかった・・・。なんだろう、雨の音や背景(写っているビデオや美術とか)にかき消されてしまったのか。けれど、詩的な台詞ばかりで、観ている間は夢の世界(?)に浸れた。中嶋朋子の化粧が、雨に打たれているにもかかわらず崩れなかったのがすごい。どういう化粧法なんだ・・・って、かなり芝居の感想とかけ離れてますが(笑)。とにかく出演者全員雨でびしょびしょで、観客席も暑さと雨の湿気でムンムンで、とても活気のある現場でしたよ!
劇場まで来るときの話。西巣鴨のA4エレベーターを上がったところで、突然の暴雨。傘を持っていなかった私は会場まで走った。すると、会場の入り口に、傘を持ったスタッフさんがいて、入口まで誘導してくださった。私はそれほど濡れずに、無事にチケットを買い、中へ入ることができた。ありがとうございました。

サンプル『ゲヘナにて』観劇。これまで以上に捉えどころのない感じ。それが面白いのかも。個人的には、その言動や衣裳からニジンスキーを彷彿させる役柄の岩瀬亮さんに釘付けでした。最後のシーンとかまじすごい。本来なら笑っちゃうようなバカバカしいシーンなのに、なにこの静謐さと感動は!ストーリーらしいストーリーがなく、特異な登場人物が出てきて変わったエピソードが交錯する・・・というのは、いつもの感じなのだけど、今回は、天才である松井周が、いつもと同じに見えて、じつは360度回って元に戻ってきた・・・みたいな感じを覚えた。サンプルのこの作品って、「太宰治作品をモチーフにした演劇」なんだよね。なんか、すべての登場人物が世間からズレてて、愛おしくなるような作品でした。舞台美術も効果的だった。松井さんは、たぶん、今社会で起きているいろんなことを考えているんだろうなあ・・・と思う。考えすぎてこういう作品が・・・。

ミュージカル『嵐が丘』観劇。つまらなくはないけど、芝居としては普通。歌はまあよかった。個人的にはやはり岩崎大さんがよかった。ヒンドリーという、まあ悪役なのだけど、岩崎さんはどこかお茶目で。ヒンドリーが落ちぶれていく様も、なんかダメンズな感じで可愛かった・・・(笑)。あと、私は知らなかったのだけど、エドガーを演じた山崎育三郎さんという方が魅力的だった。いかにも「王子様」みたいな感じで、品があったし、歌もうまかった。『モーツァルト!』で菊田一夫演劇賞を獲った方なんですね。人気のある方のようで、登場するたびに客席から「ほ〜」というため息が。キャサリン役の安倍なつみも、ヒースクリフ役の河村隆一も歌も演技も申し分なかったが、あまり印象に残らなかったのはなぜだろう・・・。イザベラ役の荘田由紀が、オーラがあって歌もうまくて印象に残った。あと岩崎大さんの長身とハンサムな顔は大きな舞台でも映えるな〜と感心した。
嵐が丘』は、ある意味、カーテンコールが一番興味深かった・・・。やはり河村隆一ファンは多いようで、カテコでは前列の観客たちがスタオベ。あと安倍なつみファンのヲタク男性客も多く、カテコでスタオベして「なっち!」「なっちゃん!」と声を上げていた。モーニング娘。人気は健在なんだな・・・。そういえば、今日のヤフーニュースのトップに、「安倍なつみ、結婚に焦り」とかいう記事が出ていたのだけど、今日の『嵐が丘』の公開舞台稽古の際のコメントのことだった。以前は私も記者会見とかよく出ていたけど、ほんとテレビとかスポーツ誌の人って、舞台と全然関係ないことを平気な顔で聞くよな〜。しかし今日の舞台での安倍なつみ人気で、数年前にコマ劇で観たモーニング娘。の舞台を思い出した。あのときも、ヲタク客が大勢いて、普通の舞台とは全然違った雰囲気を醸し出していて、不思議な光景だった。