トラストいかねぇ

『トラストいかねぇ』

作・演出◇松居大悟 出演◇安田章大 高梨臨 駒木根隆介 町田マリー 加藤啓 川島潤哉 玉置孝匡 三上市朗
7/9〜8/1◎東京グローブ座、8/4〜7◎シアター・ドラマシティ

<あらすじ>公式サイトより
正・タダシ(安田章大)、通称ジャスティは、かつての恋人・紗江(高梨臨)から連絡を受け、お互いを“ファミリー”と呼び合う「シャインズ」のリンボク(駒木根隆介)、ケミー(町田マリー)と、何年も絶縁状態にある父親・湯吉 (三上市朗)が代表を務めるボランティア団体の祝賀会へ向かった。湯吉たちの集めたお金を巻き上げ、ボコボコにする為に――。
乗り込んだパーティー会場で正たちが見たのは、なんと9000万円! しかし、パーティーの準備中にその9000万円を入れていたカバンが・・・なくなっちゃった?湯吉、紗江、ボランティア団体の宮田(玉置孝匡)、ぺぺ(加藤啓)から疑われる正と“ファミリー”。
「なんで俺らが疑われなきゃいけねぇの・・・マジで、ぜってぇ犯人見つけてやる・・・・
トラストいかねぇよマジで!」
湯吉からよそ者扱いをされたあげく犯人と疑われ、納得のいかない正は犯人探しを始めた―――。

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関ジャニ安田章大主演ということで話題の『トラストいかねぇ』観劇。私はこの安田くんという方はまったく存じ上げず、作・演出がゴジゲンの松居大悟で、出演者に町田マリーはじめ加藤啓、ペンギンの玉置孝匡コマツ企画の川島潤哉といった、小劇場ではわりと名の知れた方たちが出ているのに興味を持って観に行った。
二転三転して、誰が悪者なのかわからない・・・というストーリー展開はスリリングで面白い。役者もどの人もよかった。なかでも川島潤哉はかなり笑いをとっていた。
やはり客層はジャニーズファンの若い女の子ばかりで、異様な感じ。最初、安田くんが通路から出てきたら「キャー!」と悲鳴が上がったり、安田くん以外の役者でも、なにか面白いことをやると素直に笑ったり、「え〜」と言ったりする。ある意味新鮮だった。小劇場の芝居ではそういうことはないよね。。。そんな感じで、お客さんはかなり喜んでいた様子。ちょっとしたことでも笑っていたし、最後のシーンではすすり泣きの音も聞こえた。私はそこまではちょっと・・・という感じだったけども。そしてカテコではやはり全員総立ち。安田くんが挨拶するとみんな手を振っていた。安田くんのカテコでの挨拶がよかった。「こんな不安な時代ですが、せっかく生きているんだから楽しく過ごしたほうがいい。僕は毎日舞台で楽しんでいます。皆さんも、家に帰ったら親に『ありがとう』という気持ちを持って、素直になってくださいね」。
そう、これは、父と息子との話だったのです。安田くん演じる正と、父・湯吉の不器用な愛。あまりにも不器用すぎて、「なぜ?」と思ってしまうシーンが多かったけれども。最後の最後には強引に納得させてしまうような・・・。
父と息子との話、というだけでなく、「ファミリー」の話だったように思う。「家族」ではなく「ファミリー」。血の繋がりだけでなく、心の繋がりが大切だ、と言っているように思えた。「心の繋がり」を大切にしたからこそ、湯吉はああいう行動に出たのだ・・・と理解できるし、正だってだからこそ「シャインズ」の仲間たちを「ファミリー」と呼んだのだ。心の拠り所になる家族、あるいは血は繋がっていなくとも家族のような「ファミリー」。今の時代は、そうした人を皆が必要としているように思える。