『吾妻橋ダンスクロッシング』

吾妻橋ダンスクロッシング

出演◇遠藤一郎 悪魔のしるし core of bells 地点 ボクデス 三浦康嗣(□□□) 康本雅子 Line京急 大谷能生×吉田アミ+ucnv 毛利悠子 Sachiko M(回によって変更あり)
8/19〜21◎アサヒ・アートスクエア


毎年夏に行われる吾妻橋ダンスクロッシング。ダンス、演劇、アート、お笑い、音楽・・・「グルーヴィーな身体」をキーワードにあらゆるジャンルの最先端パフォーマンスをクロスさせるサプライズなパーティー(チラシより)。
今年も面白かったです。


以下、ネタばれあり。



トップバッターがいきなり康本雅子という驚き。本来ならトリになるべき人だが、最後のカーテンコール時にもいなかったし、早く帰らなければならない事情があったのかもしれない。
作品は『絶交』と題したもので、佐藤亮介とのデュオ。
タイトル通りという感じのする、ところどころちょっと色っぽい感じのダンス。
だが、康本雅子本来のダンスの凄さはあまり感じることができず。彼女一人で踊るシーンが少なすぎた。ゆえに、インパクトもあまりなかった。。。
次はLine京急。冒頭、映像のトラブルがあって、なかなか映像が出てこなくて、山縣太一くんがアドリブで乗り切っていた。山縣くんは観客とのコミュニケーションがうまい。なので、こういうトラブルがあっても乗り切ることができる。
今回も面白かった。やはり山縣くんの軽妙な語りと動きはいい。大谷さんの音楽ももちろんいい。この台詞とダンスと音楽の絡まり具合が気持ち良い。
次はボクデス&家族。ボクデスは、いつもはわりと単独でのパフォーマンスが多いが、今回は家族を呼んでのパフォーマンス。その状況は面白かったが、中身はそれほど面白いとは思えず。
次は口ロロの三浦康嗣作詞・作曲・編曲・演出による『合唱曲 スカイツリー』。
18人の合唱隊が、ピアノに合わせて歌う。
途中、台詞が入る。スカイツリーについて、「いつの間にあんなに大きくなったんだろう」と。また、東京の環状線放射線について。台詞がいつしか歌と溶け合っていく。
気持ちの良い曲だった。
このあたりで休憩かと思っていたら、まだ続いた。次は悪魔のしるし。
悪魔のしるしを見るのは今回が初めてだったが、とても興味深かった。
当日パンフのプロフィールによると、演劇・パフォーマンス・音楽・現代美術など多様な要素を持つ異色のパフォーマンス集団なのだという。
今日やっていたのは、捕鯨をテーマにしたパフォーマンス。
外人がレポートして、それを日本人が日本語に通訳する。そのうち外人が鯨に食べられ、日本人が拡声器を持って話し、それを日本人が英語にする。そばには鯨が泳いでいる・・・という、なんかよくわからない感じのパフォーマンスで、ちょうど休憩が入る前だったから集中力も削がれていたのだけど、なんか面白いことをやっている集団なんだなということはよくわかった。
ここで20分の休憩。休憩中にエレベーターホールに展示された毛利悠子の『大船フラワーセンター』を見る。あとで席に戻ると、このエレベーターホールがスクリーンに映し出されていた。私の姿も映っていたのかもしれない。
後半の第一発目は初参加のバンドcore of bells。かなりパワフルで盛り上げてくれた。
同じシーン(曲)を何度も繰り返し、そのたびメンバーが疲弊していく様は、東京デスロックを彷彿させた。
場内はかなりウケていて、盛り上がっていた。ライブハウスだったらもっと盛り上がったことだろう。ドラムが特にとてもかっこよかった。
次は大谷能生×吉田アミ+ucnv『plays 笙野頼子』。
『人の道御三神といろはにブロガーズ』をテキストに、映像と音楽を絡ませてのリーディング。
うーん、よくわからなかったです。もっと音楽が入るのかと思ったけど、音楽というより「音」だよね。これが今の日本の即興・実験音楽シーンなの?
次は地点『木堂先生』。地点がここでどんなパフォーマンスをやるのか興味があったのだけど、意外にも彼らはこの空間に馴染んでいるように思えた。
内容はよくわからなかった。なんかこのあたりで集中力も途絶えていた。
トリは遠藤一郎。去年もそうだったな。
今回は、祭りの日にお面をつけ藁を背負った男が頑張る・・・という感じのストーリー(?)。
「本気で行けば最強!!」がテーマ(?)。
最終的には、「革命」を目指している(?)。
観客とコミュニケーションをとろうとしたり、その空回り加減、寒い感じも含め、サービス精神を感じさせたし、頑張っている感が出ていた。
去年は遠藤一郎のなにがどう面白いのかさっぱりわからなかったけれど、今回また観て、この全部の雰囲気を含めて楽しめばいいのか、と思った。
そう思ったら、なにやら観ていて元気が出たような気もしないでもない。

全体的に、とても楽しく飽きずに最後まで観られたけれども、休憩こみで約3時間半という上演時間は、ちょっと長いかもしれない、と終わった後の電車の中で思った。