オフィス3○○音楽劇『ゲゲゲのげ〜逢魔が時に揺れるブランコ』

オフィス3○○音楽劇『ゲゲゲのげ〜逢魔が時に揺れるブランコ』

作・演出・出演◇渡辺えり 出演◇中川晃教 馬渕英俚可 松村武 若松力 友寄有司 土屋良太 広岡由里子 奥山隆 吉田裕貴 多賀健祐 谷口幸穂 川崎侑芽子 加藤亜依 ほか 
8/1〜23◎座・高円寺

1982年に初演され、1983年に岸田國士戯曲賞を受賞した渡辺えりの代表作。
いじめっ子といじめられっ子の物語がどんどん広がっていく。いじめられっ子が鬼太郎を呼んだことから、鬼太郎とともに水木しげるの妖怪たちが暗躍し、いじめっ子を倒そうとする。いじめられっ子の家庭にも異変が起こる。お母さんが二人現れたり、押し入れから謎の美女が登場したり、過去に出会った人物が現れたり。戦時中に疎開している児童たちの物語も出てくる。場所も池袋から東北へと広がっていく。
正直、すべてを理解できたわけではない。けれど、これがいじめられっ子の頭の中で起こっている物語だと考えるならば、理解はできる。でも単純にそうではない、と思う。
起こっていることはすべて事実なのだ。
「逆もまた真なり」
この芝居のなかに出てくる言葉だ。
私自身も好きな言葉でもある。
起こっていることは、すべて、妄想でもないし、実際に起こっているのだ。
そして、なにが起こったとしても、逆もまた真なのだ。
人々は、起こったことを、起こったものとして肯定して、生きて行かねばならない。
なんかすごく切ない話だな、と思った。
中川晃教くんが鬼太郎の役で、かなりよかった。
彼が出ていない場面は退屈なほどだった。
彼はいつの間にこんなに芝居の実力をつけたんだろう。
鬼太郎と鬼太郎のお父さんの二役をできるとは(笑)。
全編生バンドの演奏だったのだが、それもよかった。座・高円寺の空間を最大限に生かしていたと思う。
押し入れの場面とかは、唐さんの芝居を思い出した。ほかにもアングラ的な要素がいろいろあって、ワクワクした。
でも一番ワクワクしたのは、鬼太郎の登場シーンかな。アッキー、かっこよすぎ!歌もうまいし、演技力もついて、もはや怖いものなしだね。
この芝居も、オーディションで選ばれた人たちも含め、稽古大変だっただろうなあ、と思う。
なんか最後のカーテンコールで、そういういろんな思いが込み上げ、力一杯拍手してしまった。